結論

住み替えは、決断から入居まで通常1年前後かかります。最も時間がかかるのは物件探しではなく、荷物の整理です。ここを最初に始めてください。

当てはまるのは、今の家を売って住み替える場合です。

例外:買取業者への売却を選ぶ場合、売却期間が大幅に短縮されます。ただし価格は市場での売却より低くなるのが通常です。

この記事で扱わないこと

  • 特定の不動産会社・業者の推奨
  • 売却期間の保証(市況・物件条件で大きく変わります)
  • 税務・法務の手続き判断

全体像

12か月前  方針を決める・維持費を試算する
10か月前  査定を取る・売却の見通しを立てる
 9か月前  住み替え先の条件を整理する
 8か月前  ★荷物の整理を開始する(最重要)
 6か月前  売却活動を開始する
 4か月前  住み替え先を具体的に検討する
 2か月前  売買契約・住み替え先の契約
 1か月前  引越しの手配・各種手続き
   当月   引き渡し・引越し

8か月前の項目に★を付けているのは、ここが計画の成否を分けるためです。


12か月前:方針を決める

やること

  • 今の家の維持費を20年分試算する
  • 住み替えるかどうかの判断材料を揃える
  • 配偶者と方針を共有する

やらないこと

  • 物件を見に行く(判断が感情に流れます)
  • 不動産会社に相談する(まだ早い)

▶ 戸建て維持費シミュレーター ▶ 住み替える人・住み続ける人を分ける6つの条件

ここで「住み替えない」という結論になることもあります。それも正しい結果です。


10か月前:査定を取る

やること

  • 複数社に査定を依頼し、価格の幅を知る
  • ローン残債を書面で確認する
  • 手残りを計算する

この段階で手残りが分かると、以降の判断がすべて具体的になります。逆に、手残りが分からないまま物件を見ると、予算が決まらず時間だけが過ぎます。

▶ 今の家がいくらで売れるか把握する方法 ▶ 住み替えの資金計画


9か月前:住み替え先の条件を整理する

やること

  • 5つの選択肢のうち、資金と健康状態で成立するものを絞る
  • 譲れない条件と、譲れる条件を書き出す
  • 候補地域を実際に歩いてみる

「歩いてみる」を飛ばさないでください。地図と物件情報だけでは、坂の勾配も、スーパーまでの実際の歩きやすさも分かりません。

▶ 60代の住み替え先5パターン比較 ▶ 車を手放しても暮らせる家の条件


★8か月前:荷物の整理を開始する

住み替えで最も時間がかかる工程です。

30年以上住んだ家の片付けは、物理的な作業量より判断の回数が問題になります。「捨てる/残す」の判断を数千回繰り返すことになり、体力より先に判断力が尽きます。

目安として、想定の2倍の期間を見てください。

進め方の原則:

  1. 使っていない部屋から始める(判断が軽い)
  2. 1日1か所、時間を区切る(一気にやると続かない)
  3. 迷ったものは保留箱に入れ、先に進む(判断を止めない)
  4. 写真・手紙などの思い出の品は最後に回す(最も時間がかかる)

▶ 住み替え前の生前整理:何から減らすか


6か月前:売却活動を開始する

やること

  • 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  • 売却価格を決める
  • 内見の受け入れを始める

売却期間は読めません。1か月で決まることも、1年かかることもあります。この不確実性を前提にスケジュールを組んでください。

▶ 売り先行と買い先行、どちらを選ぶか


4か月前:住み替え先を具体的に検討する

やること

  • 候補物件の内見
  • マンションの場合、管理費・修繕積立金と長期修繕計画の書類確認
  • 住宅ローンを使う場合、金融機関への事前相談

▶ 住み替え先の内見で必ず見る20項目 ▶ 中古マンションの管理費・修繕積立金で確認すべきこと


2か月前:契約

やること

  • 売買契約(売却・購入)
  • 住宅ローンの本申込み
  • 税金がかかる可能性の有無を、税務署または税理士に確認する

最後の項目を忘れないでください。契約後に確認すると、選べたはずの選択肢がなくなっていることがあります。


1か月前:手配と手続き

やること

  • 引越し業者の手配(繁忙期は早めに)
  • 電気・ガス・水道・インターネットの移転手続き
  • 郵便物の転送届
  • 新居の採寸(カーテン・照明・家電)

当月:引き渡し・引越し

やること

  • 決済・引き渡し(ローン完済と抵当権抹消がある場合は同日に処理)
  • 引越し
  • 住民票の異動と、各種住所変更

逆算表(印刷用)

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時期 やること 完了
12か月前 維持費の試算・方針の共有 □
10か月前 複数社の査定・残債確認・手残り計算 □
9か月前 選択肢の絞り込み・候補地を歩く □
8か月前 荷物の整理を開始 □
6か月前 媒介契約・売却活動の開始 □
4か月前 住み替え先の内見・書類確認 □
2か月前 売買契約・税務の確認 □
1か月前 引越し手配・移転手続き □
当月 決済・引き渡し・引越し □

この表のとおりに進まなくても問題ありません。売却期間は読めないため、ずれるのが通常です。守るべきなのは順序であって、月数ではありません。

▶ 60代の住み替え、判断から実行までの全体像

執筆者

河田邦昭かわた くにあき

1987年生まれ。千葉県で育ち、東京都を経て現在は神奈川県在住。戸建てとマンションの両方を購入し、県をまたぐ住み替えを2度経験しています。不動産・税務の資格は持っていません。

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