結論

資金に余裕がない場合、売り先行が原則です。買い先行は、今の家が売れなかったときに退路がなくなります。

当てはまるのは、今の家を売って次の家を買う住み替えの場合です。

例外:住宅ローンの残債がなく、新居の購入代金を売却代金に頼らず用意できる場合は、買い先行の利点が大きくなります。この場合は買い先行を選ぶ合理性があります。

この記事で扱わないこと

  • 特定の不動産会社・買取業者の推奨
  • 売却価格の予測
  • 税務の判断(税務署・税理士にご確認ください)

2つの進め方の違い

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売り先行 買い先行
順序 売ってから買う 買ってから売る
資金 手残りが確定してから動ける 一時的に二重の負担が生じる
価格交渉 売却で足元を見られにくい 売り急ぎ、値下げしやすい
仮住まい 必要になることが多い 不要
新居選び 期限に追われることがある じっくり選べる
最大のリスク 仮住まいの費用と手間 売れないまま支払いが続く

売り先行が原則である理由

住み替えの資金は、実際に売れるまで確定しないからです。

査定額は「このくらいで売れるだろう」という見込みであって、確定額ではありません。買い先行で新居を決めてしまうと、その見込みを前提に支払いの約束をすることになります。

実際の売却額が見込みを下回った場合、差額をどこかから用意しなければなりません。60代では、追加の借入という選択肢が現役世代より狭くなります。

売り先行で起きること

  • 売却が決まってから引き渡しまでの間に、新居を探すことになる
  • 間に合わなければ仮住まいに入る
  • 仮住まいの費用と、引越し2回分の費用が発生する

これらは「費用と手間の問題」です。金額は事前に見積もれます。

買い先行で起きること

  • 新居の支払い(ローンまたは現金)が始まる
  • 今の家のローンが残っていれば、二重の支払いになる
  • 固定資産税・管理費なども2軒分かかる
  • 売却が長引くほど、この期間が延びる

これは「いつ終わるか分からない問題」です。事前に上限を見積もれません。この差が、原則を分けます。


買い先行を選んでよい条件

次のすべてを満たす場合、買い先行に合理性があります。

  1. 今の家に住宅ローンの残債がない
  2. 新居の購入代金を、売却代金に頼らず用意できる
  3. 今の家が売れるまで、二重の維持費を払い続けられる
  4. 売却まで1年かかっても、生活が成り立つ

4つ目を軽く見ないでください。「3か月もあれば売れるだろう」という前提で始めて、1年かかることは珍しくありません。特に、駅から遠い、面積が大きい、築年数が古い物件は時間がかかります。


折衷案

買取保証を使う

一定期間内に売れなかった場合、不動産会社が買い取ることをあらかじめ約束する仕組みです。

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利点 注意点
売却の期限が確定する 買取価格は市場価格より低くなるのが通常
買い先行に近い動き方ができる 取り扱っていない会社がある
仮住まいを避けやすい 買取価格を事前に確認する必要がある

買取価格がいくらになるかを、契約前に必ず確認してください。「売れなければ買い取ります」という言葉だけで判断せず、金額を書面で確認します。

引き渡し猶予を交渉する

売買契約後、引き渡しまでの期間を長めに設定してもらう方法です。

その期間に新居を探して入居できれば、仮住まいを挟まずに済みます。ただし買主の都合次第なので、確実な方法ではありません。買主が転勤などで急いでいる場合は交渉できません。

仮住まいを前提に組む

最も確実です。仮住まいの費用をあらかじめ資金計画に入れておけば、想定内の支出になります。

見込んでおくもの:

  • 仮住まいの家賃(期間は長めに見積もる)
  • 敷金・礼金・仲介手数料
  • 引越し費用2回分
  • 荷物の一時保管費用

▶ 住み替えにかかる費用の全項目リスト


判定

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状況 進め方
ローン残債がある 売り先行。買い先行は選択肢に入れない
残債はないが、新居の資金を売却代金に頼る 売り先行
資金に余裕があり、売却まで1年待てる 買い先行も可
仮住まいを避けたいが、資金に余裕はない 売り先行+買取保証、または引き渡し猶予の交渉

▶ 住宅ローンが残っている家から住み替える手順 ▶ 住み替えのスケジュール:1年前からの逆算表 ▶ 今の家がいくらで売れるか把握する方法

執筆者

河田邦昭かわた くにあき

1987年生まれ。千葉県で育ち、東京都を経て現在は神奈川県在住。戸建てとマンションの両方を購入し、県をまたぐ住み替えを2度経験しています。不動産・税務の資格は持っていません。

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