結論

査定額は「売れる価格」ではなく「売れるだろうという各社の見立て」です。目的は正確な1つの数字を得ることではなく、複数社を比べて価格の幅を知ることです。

当てはまるのは、住み替えを検討していて、まだ売却を決めていない段階の方です。

例外:相続した不動産や共有名義の物件では、査定の前に権利関係の確認が必要です。名義人全員の同意がないと売却できません。

この記事で扱わないこと

  • 特定の不動産会社の推奨や比較
  • 査定額の妥当性の判断(物件ごとに条件が異なります)
  • 税務の判断(税務署・税理士にご確認ください)
  • 相場価格の提示

査定額と売却価格は違う

まず、この区別を押さえてください。

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用語 意味
査定額 不動産会社が「このくらいで売れそうだ」と見立てた金額
売出価格 実際に市場に出すときの価格(売主が決める)
成約価格 実際に買主と合意した価格

この3つは一致しません。成約価格は売出価格より下がるのが通常で、売出価格は査定額を参考に売主が決めます。

そして重要なのは、査定額は不動産会社によって差が出るという点です。同じ物件でも、会社ごとに数百万円の開きが出ることは珍しくありません。


なぜ1社だけで判断してはいけないのか

理由は2つあります。

1. 高い査定額が、売れる価格とは限らない

媒介契約を取るために、意図的に高い査定額を出す会社があります。高い価格で売り出したものの売れず、結局値下げを重ねることになると、時間だけが失われます。

売却期間が延びると、住み替え全体のスケジュールがずれます。

2. 幅を知らないと、判断の基準が持てない

1社の数字だけでは、それが高いのか安いのか分かりません。複数社を比べて初めて、価格の中心と幅が見えます。

資金計画は、幅の下限側で立ててください。上限で計画すると、実際に売れたときに足りなくなります。

▶ 住み替えの資金計画


査定の3つの種類

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種類 方法 精度 手間
簡易査定(机上査定) 物件情報と周辺の取引事例から算出 低い 小さい
訪問査定 担当者が実際に物件を見て算出 高い 大きい
不動産鑑定 不動産鑑定士による評価 最も高い(有料) 大きい

簡易査定から始める

検討の初期段階では、簡易査定で十分です。物件の情報を入力すると、複数社から見立てが届きます。

目的は「おおよその幅を知ること」なので、この段階で正確さを求める必要はありません。

訪問査定は、売却を具体的に考えてから

訪問査定では、担当者が実際に建物の状態、日当たり、周辺環境を確認します。簡易査定より精度が上がりますが、その分だけ営業の接触が発生します。

まだ売ると決めていない段階で訪問査定を複数社に依頼すると、対応の負担が大きくなります。簡易査定で幅を掴んでから、2〜3社に絞って訪問査定を依頼するのが現実的です。

不動産鑑定が必要になる場合

有料で、不動産鑑定士が正式に評価するものです。相続の分割協議や、裁判で価格を争う場合など、法的な根拠として金額が必要なときに使います。通常の売却では必要ありません。


査定を依頼する前に用意するもの

手元にあると、査定の精度が上がります。

  • 登記事項証明書(または権利証・登記識別情報)
  • 測量図・境界確認書
  • 建築確認済証・検査済証
  • 間取り図
  • 固定資産税の納税通知書
  • 住宅ローンの返済予定表(残債の確認用)
  • リフォーム・修繕の履歴

リフォーム・修繕の履歴は、価格に反映されることがあります。外壁塗装や水回りの更新をしていれば、その記録を出してください。


査定を受けるときの注意

数字の根拠を聞く

「なぜこの金額なのか」を必ず聞いてください。

  • 近隣のどの取引事例を参考にしたか
  • 建物と土地をそれぞれいくらと見ているか
  • この価格で売れるまでにどのくらいかかる見込みか

3つ目の質問に明確に答えられる会社は、市場を実際に見ています。

極端に高い査定額は、根拠を確認する

他社より明らかに高い数字が出た場合、その根拠を具体的に確認してください。合理的な説明があれば問題ありませんが、説明が曖昧な場合は注意が必要です。

売却を決めていないことを伝える

「まだ検討段階です」と最初に伝えてかまいません。その方が、必要以上の営業を避けられます。


この段階でやること

  1. 簡易査定で、複数社の見立てを集める
  2. 価格の幅(上限・下限)を把握する
  3. ローン残債を書面で確認する
  4. 下限側の金額で手残りを計算する
  5. その数字を持って、住み替えの判断に戻る

5が目的です。査定は売却のための手続きではなく、住み替えるかどうかを判断するための材料集めです。この段階で「売らない」という結論になっても、まったく問題ありません。

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執筆者

河田邦昭かわた くにあき

1987年生まれ。千葉県で育ち、東京都を経て現在は神奈川県在住。戸建てとマンションの両方を購入し、県をまたぐ住み替えを2度経験しています。不動産・税務の資格は持っていません。

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