結論
高齢での入居審査で見られているのは年齢そのものではなく、「家賃を払い続けられるか」と「室内で何かあったときに連絡が取れるか」の2点です。この2つに答えを用意できれば、結果は変わります。
当てはまるのは、持ち家から賃貸への住み替えを検討している場合です。
例外:すでに要介護認定を受けている場合、一般の賃貸ではなく高齢者向けの住まいが選択肢の中心になります。地域包括支援センターに相談してください。
この記事で扱わないこと
- 特定の不動産会社・保証会社の推奨
- 入居審査の可否判断(基準は貸主・保証会社ごとに異なります)
- 差別的取り扱いへの法的対応
なぜ断られるのか
貸主が懸念しているのは、次の3点です。年齢はその代理指標として使われています。
← 横にスクロールできます →
| 貸主の懸念 | 実際に見ている点 |
|---|---|
| 家賃の支払いが続くか | 収入の継続性、資産の有無 |
| 室内で急病や事故が起きないか | 同居人の有無、緊急連絡先 |
| 何かあったとき対応できる人がいるか | 親族の所在、連絡の取りやすさ |
このうち貸主が最も重く見るのは3つ目です。建物の管理上、緊急時に連絡が取れる相手がいるかどうかが判断を分けます。
つまり、「年齢が高いから断られる」のではなく、「これらへの答えが用意されていないから断られる」というのが実態に近い構図です。逆に言えば、準備で改善できる余地があります。
準備しておく4つのこと
1. 緊急連絡先を明確にする
最も効果が大きい準備です。
子ども・きょうだい・甥姪など、連絡が取れる親族の氏名・住所・電話番号を用意しておきます。申込みの段階で提示できると、審査の印象が変わります。
親族が遠方でも問題ありません。「連絡が取れる」ことが重要で、近くにいることは条件ではありません。
2. 収入と資産の資料を揃える
見られているのは金額の大きさより、継続性です。
- 年金額が分かる書類(年金振込通知書など)
- 預貯金の残高が分かる書類
- 持ち家の売却代金がある場合、その資金の所在
年金は「途切れない収入」として、給与より安定的に評価されることがあります。現役の収入より低くても、不利とは限りません。
3. 保証会社の利用を前提に考える
現在の賃貸では、連帯保証人の代わりに保証会社を使うのが一般的です。高齢を理由に一律で断らない保証会社もあります。
不動産会社に「高齢者の入居実績がある保証会社を使えるか」を確認してください。取り扱いのある会社かどうかで、選べる物件が変わります。
4. 見守りサービスの利用を検討する
安否確認のサービスに加入していることを申込み時に伝えられると、貸主の懸念の3つ目に直接答えられます。
形態はいくつかあります。
- 民間の見守りサービス
- 自治体の高齢者向け安否確認サービス
- 電気・ガスの使用量による異常検知
- 家族との定期連絡の仕組み
自治体のサービスは、市区町村の高齢福祉担当窓口で確認できます。内容と対象は自治体ごとに異なります。
探し方の工夫
高齢者の受け入れに前向きな物件を探す
「住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅」という制度上の枠組みがあります。高齢者・障害者・子育て世帯などの入居を拒まない賃貸住宅として登録されたもので、専用のサイトで検索できます。
制度の詳細と検索方法は国土交通省の該当ページで確認してください。〔要リンク①〕
UR賃貸住宅を選択肢に入れる
UR賃貸住宅は保証人が不要で、申込みの要件が民間と異なります。条件が合えば有力な選択肢になります。
ただし、物件のある地域が限られる点、建物の築年数が古いものが多い点は確認が必要です。
不動産会社に最初から事情を伝える
内見してから断られるより、最初に条件を伝えて絞り込む方が結果的に早く進みます。
伝えること:
- 年齢と世帯構成
- 緊急連絡先の有無
- 収入の内容(年金額など)
- 保証会社を利用する意思
この4つを最初に伝えると、対応できる物件だけを紹介してもらえます。
賃貸を選ぶこと自体の判断
賃貸への住み替えには、持ち家にはない性質があります。
← 横にスクロールできます →
| 利点 | 制約 | |
|---|---|---|
| 資金 | まとまった資金が不要。手元資金の自由度が高い | 家賃を払い続ける前提が必要 |
| 修繕 | 建物の修繕は貸主の負担 | 自由に改修できない |
| 移動 | 状況が変われば再度住み替えられる | 更新のたびに審査がある |
| 資産 | — | 資産として残らない |
「資産として残らない」ことを短所と考えるかどうかは、家族の状況によります。子どもが実家を継ぐ意思がない場合、資産として残すことの意味は変わります。
▶ 60代の住み替え先5パターン比較 ▶ サ高住・有料老人ホーム・一般賃貸の違い ▶ 住み替えの資金計画:売却代金・退職金・年金の組み立て方