結論

戸建ての維持費で家計を圧迫するのは、毎年の固定費ではなく10〜20年に一度来る大きな出費です。「年間いくら」に均すと、この塊が見えなくなります。

当てはまるのは、築15年以上の持ち家戸建てに住んでいる場合です。築浅の場合、大きな更新はまだ先なので、この記事の緊急度は下がります。

例外:分譲地内で管理組合があり、共用部の修繕積立を毎月支払っている場合は、負担の一部が平準化されているため、以下の試算より塊が小さくなります。

この記事で扱わないこと

  • 特定の施工業者・工法の推奨
  • リフォームによるグレードアップ費用(原状を維持する費用のみ扱います)
  • 火災・地震による損害と保険金
  • 固定資産税の税額計算(お手元の納税通知書の額をお使いください)

戸建ての維持費には、何が含まれるのか

維持費は「毎年必ずかかるもの」と「周期的に来るもの」の2階建てで、後者のほうが金額が大きくなります。

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分類 費目 発生の仕方
毎年 固定資産税・都市計画税 毎年
毎年 火災保険・地震保険 毎年または長期一括
毎年 日常修繕・点検 毎年(築年数とともに増える)
周期 外壁塗装 〔数値①〕年ごと
周期 屋根の補修・葺き替え 〔数値②〕年ごと
周期 給湯器 〔数値③〕年ごと
周期 キッチン・浴室・洗面・トイレ 〔数値④〕年ごと
周期 給排水管 〔数値⑤〕年ごと
周期 シロアリ防除(木造) 〔数値⑥〕年ごと

このうち、多くの方が計算に入れていないのが給排水管とシロアリ防除です。目に見えない場所なので、必要になって初めて存在に気づきます。

毎年かかるものは、いくらか

毎年の固定費は、金額そのものより「これが20年続く」という総額で見てください。

固定資産税は納税通知書の額がそのまま該当します。家屋部分の評価額は経年で下がりますが、3年ごとの土地の評価替えで相殺されることが多く、体感としてはほぼ横ばいです。

火災・地震保険は〔数値⑦〕、日常修繕・点検は〔数値⑧〕が目安です。日常修繕は、給排水の詰まり、建具や金物の交換、網戸の張り替え、鍵の交換といった細かい支出の積み上げで、築15年を過ぎたあたりから明らかに増えます。

写真スロット

外壁を手でこすった跡、またはひび割れの接写。ご自宅かご近所の外壁で撮れます。

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外壁を手でこすると白い粉が付く状態。塗り替えの目安のひとつです。

数年〜数十年おきに来るものは、何か

金額の大きい順に、外壁塗装・屋根・水回り設備の3つが柱になります。

問題は金額そのものではなく、これらの更新時期が重なりやすいことです。同じ年に建てられた設備は、同じ頃に寿命を迎えます。

たとえば築30年前後の家では、外壁の2回目の塗り替え、屋根の補修、給排水管の更新が数年のうちに集中することがあります。ここで数百万円規模の判断を迫られ、「直すか、住み替えるか」の分岐が否応なく目の前に来ます。

なぜ「年間いくら」で考えると危険なのか

総額を20年で割った月額は、実際の支払いのどの月にも一致しないからです。

仮に20年で1,200万円かかるとして、月あたり5万円と表現すると「毎月5万円ずつ払えばよい」と読めます。しかし実際には、何もない年が10年続いたあと、ある年に300万円が必要になります。

この差は、60代にとって決定的です。現役世代なら借入や収入増で吸収できますが、年金生活では手元資金からの支出になります。年額に均した数字だけで判断すると、実際に塊が来たときに選択肢がありません。

▶ 戸建て維持費シミュレーターで、ご自宅の20年を年ごとに見る

築年数・延床面積・構造・固定資産税額を入れると、どの年にいくら来るかを表示します。メールアドレスの登録は不要です。

写真スロット

ご自宅の給湯器の型番シールの接写。個人情報が写り込まないよう注意。

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給湯器の本体に貼られた製造年のシール。交換時期はここで分かります。

マンションと比べると、どうなるのか

同じ金額を「まとめて払うか、毎月に均すか」の違いです。

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戸建て マンション
支払い方 必要なときにまとめて 管理費・修繕積立金として毎月
金額の決定 自分で判断・発注 管理組合の決議
先送り できる(ただし劣化は進む) できない
家計の見え方 平常時は安く見える 常に固定費として見える

戸建ては先送りができるのが利点であり、同時に落とし穴でもあります。先送りした結果、売却時に修繕が必要な物件として評価が下がることもあります。

なお、マンションの修繕積立金は将来値上がりする前提で計画されているのが通常です。現在の金額だけで比較すると見誤ります。

▶ 詳しくは:中古マンションの管理費・修繕積立金で確認すべきこと

維持費が分かったら、次に何をするか

維持費の総額と、その塊が来る時期が分かったら、判断は3つに分かれます。

  1. 金額が許容範囲で、生活動線にも問題がない → 住み続ける。この記事の役割はここで終わりです
  2. 金額は重いが、住む場所は変えたくない → 部分的な改修で優先順位をつける
  3. 金額が重く、生活動線にも不安がある → 住み替えの検討に入る

▶ 住み替える人・住み続ける人を分ける6つの条件 ▶ バリアフリー改修の優先順位 ▶ 60代の住み替え、判断から実行までの全体像

執筆者

河田邦昭かわた くにあき

1987年生まれ。千葉県で育ち、東京都を経て現在は神奈川県在住。戸建てとマンションの両方を購入し、県をまたぐ住み替えを2度経験しています。不動産・税務の資格は持っていません。

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