結論

住み替えた人の後悔は「もっと早く動けばよかった」に集中し、住み替えなかった人の後悔は「決め切れないまま時間が過ぎた」に集中します。どちらも中身は同じで、判断の遅れです。

当てはまるのは、住み替えを検討したことがある60代の方です。

例外:健康上の事情で急に転居した場合、後悔の性質が変わります。選択肢がない状態での転居は、判断の遅れとは別の問題です。

この記事で扱わないこと

  • 統計としての一般化(後述のとおり、本記事は事例であり調査結果ではありません)
  • 特定の地域・物件の評価
  • 住み替えを勧めること/勧めないこと

住み替えた人の後悔

1. もっと早く動けばよかった

最も多く聞かれるのがこれです。理由は「体力」に集約されます。

70代に入ってからの引越しは、荷物の整理・内見・手続きのすべてが負担になります。60代前半で動いた人と後半で動いた人では、同じ作業に感じる重さが違うという声が繰り返し出てきます。

2. 荷物の整理に時間がかかりすぎた

30年以上住んだ家の片付けは、想定の2倍かかります。物理的な作業量ではなく、一つひとつに判断が要ることが理由です。

「捨てる/残す」の判断を数千回繰り返すことになり、体力より先に判断力が尽きます。

3. 利便性を優先しすぎて、人間関係が切れた

駅前のマンションに移って買い物は楽になったが、長年の知人と会わなくなった、という後悔です。

60代の住み替えでは、生活の便利さと人間関係が両立しないことがあります。この点は物件情報からは読み取れません。

4. 新居の広さを小さくしすぎた

「夫婦二人なら十分」と考えて面積を絞った結果、来客時や子どもが泊まるときに困る、という声です。逆に「広すぎた」という後悔は相対的に少なくなります。

住み替えなかった人の後悔

1. 決め切れないまま、選択肢が減った

検討はしたが結論を出さず、数年が過ぎたケースです。その間に修繕が必要になり、まとまった支出をした結果、住み替えの資金が減りました。

住み替えなかったこと自体ではなく、「決めなかったこと」が後悔として残ります。

2. 修繕を先送りして、売却時の評価が下がった

住み続ける前提で先送りした修繕が、後になって売却を検討したときに減額要因になりました。

戸建ては修繕を先送りできるのが利点ですが、その分だけ資産価値に反映されます。

3. 夫婦で話し合わないまま時間が過ぎた

意見が割れたまま話題を避け続け、状況が変わってから急に決めることになったケースです。

▶ 夫婦で意見が割れたときの住み替えの決め方

4. 「まだ元気だから」で見送り続けた

元気であることは事実でしたが、元気なうちほど選択肢が多いという点が見落とされていました。体調を崩してから動くと、条件を選ぶ余裕がありません。


両方に共通する分かれ目

住み替えた人としなかった人、どちらの後悔も判断の遅れを指しています。そして遅れの原因は、次の2つに集約されます。

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原因 起きること
情報がないまま考えていた 維持費も売却額も分からないので、比較のしようがない
結論を出すことが目的になっていた 「売るか売らないか」を先に決めようとして、動けなくなる

避けるために有効なのは、結論を出す前に数字を揃えることです。

  1. 今の家の維持費を、20年分試算する
  2. 今の家がいくらで売れるか、複数社の査定で幅を知る
  3. その2つを見てから、初めて結論を考える

この順序であれば、「住み続ける」という結論も、根拠のある判断になります。

▶ 戸建て維持費シミュレーター ▶ 今の家がいくらで売れるか把握する方法 ▶ 住み替える人・住み続ける人を分ける6つの条件

執筆者

河田邦昭かわた くにあき

1987年生まれ。千葉県で育ち、東京都を経て現在は神奈川県在住。戸建てとマンションの両方を購入し、県をまたぐ住み替えを2度経験しています。不動産・税務の資格は持っていません。

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